「統合失調症」という病気をご存じですか?生涯のうちに統合失調症を発症する人は全体の人口の0.7%と言われ、100人に1人弱がかかる病気です。原因はわかっていませんが、脳の様々な働きをまとめることが難しくなるために、幻覚や妄想などの症状が起こる病気です。新しい薬や治療法がすすんだことにより、多くの患者さんが長期的な回復を期待できるようになっています。
クロザリル(一般名:クロザピン)という薬について、皆さんご存知でしょうか?
統合失調症の多くは、薬物療法の進歩で多くの方が改善します。しかし、お薬をきちんと服用していても症状が改善しない治療抵抗性統合失調症と呼ばれる統合失調症があります。
と定義されます。
このような治療抵抗性統合失調症を対象として、
世界で唯一有効性が認められているお薬があります。
それがクロザリルです。
いままで治療抵抗性の統合失調症患者さんの57~67%は改善を認めるというデーターがあり、世界の97か国(2008年時点)で使用され、日本では2009年に承認されました。当院でも2017年より治療を開始し、2022年8月現在ですでに28名の患者さんにクロザリル治療を実施しています。
クロザリルは有効性の高いお薬ですが、他のお薬以上に副作用に注意が必要です。
主な副作用には、顆粒球減少症や心筋炎などがあり、薬の開始にあたっては入院治療が必要となります。そこで、安心してクロザリルを飲んでいただくために、まれにおこる副作用を早期発見するために定期的に血液検査を行います。当院では福岡大学病院血液内科とも連携し、万が一副作用が出現した場合でも、迅速な対応ができる体制を整えています。
クロザリルによる治療を安心して受けて頂くために、クロザリル患者モニタリング・サービス(CPMS)という第3者機関に血液検査を報告することが義務づけられており、CPMSによる承認後、クロザリルは処方可能となります。
当院通院中以外の患者さんやご家族の方で導入をご検討の場合は、現在の主治医の先生にご相談の上、紹介状をご持参いただくようお願いします。
いくつかの問診や検査を行った上で、クロザリル治療が可能かどうかを医師が判断します。
クロザリル治療を行うために、詳しい説明を受け内容を理解した上で、治療に同意する必要があります。
クロザリル治療は、入院にて開始します
クロザリル治療を受けるには、原則26週間の入院が必要です。26週間が経過すれば白血球減少の危険性も少なくなることが分かっています。
入院後26週間が経過したら退院も可能となり、外来に通院しながらクロザリルを継続していただきます。
実際に、当院でクロザリルを導入した患者さんを担当した看護師に話を伺いました。
もし統合失調症の患者さんで、
「色々な薬を試しても良くならない」「副作用のため試せる薬がない」などの
お悩みがありましたら、治療の選択肢の一つとして、加えてみてはいかがでしょうか?
詳しいことをお知りになりたい方は、当院スタッフへお尋ねください。